粉じん爆発試験
爆発下限濃度試験(吹上式)
粉体の爆発性の有無を判定する試験です。容器内で粉体を圧縮空気により飛散させ、電気火花により試料の着火の有無を判定します。ある濃度以下になると粉じん爆発をしなくなる濃度があります。その濃度を下限界濃度とし、この数値より粉じん爆発の危険性を判定します。
0 < 濃度 ≦45 粉じん爆発の危険性が高い
45 < 濃度 ≦100 粉じん爆発の危険性がある
100 < 濃度 粉じん爆発の危険性が低い
(※ただし危険性がないわけではない)
爆発性が『高』の場合、爆発発生の危険性が非常に高く、可能な限り(できれば5%未満)酸素濃度を減らす、静電気を発生させないようにするなど十分な防止対策が必要になる。爆発性が高く評価される粉じんとして、アルミニウム、マグネシウム、小麦粉などがあり、同じ粉じんでも粒子径が小さくなるほど爆発下限濃度は小さくなる。『中』の場合、危険性は高くないが酸素濃度を減らす(10%以下)などの防止対策は必要になる。『低』の場合でも危険性は低いが酸素濃度を低くするなど対策を行った方がよく、取扱には注意する必要があります。
粉じん爆発限界酸素濃度試験
粉体に爆発性がある場合、どの程度の酸素濃度で爆発の危険性が無くなるかを判定する試験法です。圧縮空気に窒素ガスを加え、酸素濃度を調整します。
試験方法は上記の爆発下限界濃度測定と同様です。通常の試料であれば酸素濃度が12~13%以下になれば粉じん爆発は発生しません。ただし、金属粉末や有機物の微粉末は数%の酸素濃度でも爆発するものもあります。
粉じん爆発が起こらない酸素濃度を測定することで、危険性がある状況の場合には不活性ガスを用い、酸素濃度を限界酸素濃度以下にし、爆発の危険性を下げることが出来ます。ただし、酸素濃度を下げた状態から大気雰囲気に開放すると急な酸素濃度の上昇により粉じん爆発が起きる可能性があるので注意が必要です。
最小着火エネルギー試験
どの程度のエネルギー(着火源)で粉じん爆発を起こす可能性があるか確認する試験になります。試験装置は爆発下限界濃度と同様の吹上式粉じん爆発試験装置を用います。通常の爆発下限界濃度試験では数J~数十Jとかなり高いエネルギーで試験を行い、爆発の有無、爆発のしやすさを測定しますが、最小着火エネルギーは、着火する最小のエネルギーを求める試験のため、放電エネルギー量をコントロールして行います。
着火の有無により得られた着火エネルギーから静電気などの影響による着火の危険性を判定します。
0mJ < 着火エネルギー ≦10mJ 静電気による着火の危険性が高い
10mJ < 着火エネルギー ≦100mJ 静電気による着火の危険性がある
100mJ ≦着火エネルギー 静電気による着火の危険性が低い
最大爆発圧力・爆発圧力上昇速度・Kst値
爆発の激しさの評価は爆発指数によって行い、『JIS Z 8817 可燃性粉じんの爆発圧力及び圧力上昇速度の測定方法』に従って試験します。爆発の激しさの評価特性は4種類あり、結果の主な使用用途は以下になります。
1)爆発圧力・・・・・・・防爆構造設計
2)圧力上昇速度・・・・・爆発抑制設備設計
3)火炎伝播速度・・・・・爆発伝播遮断設備設計(二次災害防止)
4)爆発指数・・・・・・・爆発放散設備設計
圧力上昇速度は、爆発試験容器内で発生させた爆発による容器内の圧力の時間変化から求めるため、爆発圧力と圧力上昇速度は両方同時に結果が得られることになります。
爆発圧力及び圧力上昇速度の基準は1m3あたりの数値となりますが、1m3の装置にて試験を行うのが大変であるために20Lの球形粉じん爆発試験装置を用いて試験を行い、1m3に換算して数値をまとめます。
爆発指数としてKstを導き、この最大値Kmaxについて爆発の激しさの相対評価を行い、クラス分けします。
クラス0 Kst = 0 爆発性がない粉じん
クラス1 0 < Kst ≦ 200 爆発の激しさが弱い粉じん
クラス2 200 < Kst ≦ 300 爆発の激しさが強い粉じん
クラス3 300 < Kst 爆発の激しさがかなり強い粉じん
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