粉じん爆発試験

粉じん爆発とは?

  気体中に、ある一定濃度の粉じんが存在し、着火源により粉じんに引火して爆発が起きる現象を粉じん爆発といいます。爆発は急激な体積の膨張による変化、燃焼による火炎の発生を起こします。ガス爆発の場合には可燃性成分と支燃性成分がともに気体であるので一時的な爆発しか起こりません。しかし、粉じん爆発は爆風により未燃焼の粉じんを舞い上げ、その粉じんに着火し更なる爆発が起きる二次爆発を起こしてしまうため、事故拡大の危険性があります。

 粉体を扱う場合は、爆発の危険性が高い物質は当然のことながら、危険性の低い物質の場合でも、粉じん爆発試験により粉じん爆発が発生しない条件を把握した上で取り扱うことが必要になります。

粉じん爆発試験

可燃性の粉じんに着火すると、急激な発熱や空気膨張で火炎と爆発音を生じます。火炎は粉から粉へ伝播し、粉が燃え尽きるとなくなります。

粉じん爆発の危険性評価

  粉じん爆発の危険性には以下の2種類があり、爆発のしやすさは粉塵爆発を発生させないための条件を求める測定、爆発の激しさは、爆発した場合の対策を行うための測定になります。

1)爆発の発生のしやすさに関する危険性(爆発発生危険性)
   ○気体中の粉塵濃度・・・・・・爆発下限界濃度試験
   ○気体の酸素(ガス)濃度・・・・限界酸素濃度試験
   ○着火源・・・・・・・・・・・最小着火エネルギー試験
2)爆発の激しさに関する危険性(爆発強度危険性)
   ○爆発の強さ、激しさ・・・・・最大爆発圧力・圧力上昇速度・爆発指数

吹上式粉じん爆発試験機

吹上式粉塵爆発試験機の構造

 吹上式の粉じん爆発試験機です。
この1台で、粉体の爆発下限濃度測定や粉じん爆発限界酸素濃度の測定、更にオプションの装置を組み込むことによって、最小着火エネルギーの判定試験も行なえます。

 ・JIS Z8818
 可燃性粉じんの爆発下限界濃度測定方法に準拠
・放電開始時間の設定可能
 ( 0.1秒~0.5秒まで設定可能)

 

 ↑吹上式粉じん爆発試験機の動作をご覧ください。

爆発下限濃度試験(吹上式)

粉体の爆発性の有無を判定する試験です。容器内で粉体を圧縮空気により飛散させ、電気火花により試料の着火の有無を判定します。ある濃度以下になると粉じん爆発をしなくなる濃度があります。その濃度を下限界濃度とし、この数値より粉じん爆発の危険性を判定します。

  0 < 濃度 ≦40       粉じん爆発の危険性が高い
  40 < 濃度 ≦100     粉じん爆発の危険性がある
  100 < 濃度        粉じん爆発の危険性が低い

    (※ただし危険性がないわけではない)

爆発性が『高』の場合、爆発発生の危険性が非常に高く、可能な限り(できれば5%未満)酸素濃度を減らす、静電気を発生させないようにするなど十分な防止対策が必要になる。爆発性が高く評価される粉じんとして、アルミニウム、マグネシウム、小麦粉などがあり、同じ粉じんでも粒子径が小さくなるほど爆発下限濃度は小さくなる。『中』の場合、危険性は高くないが酸素濃度を減らす(10%以下)などの防止対策は必要になる。『低』の場合でも危険性は低いが酸素濃度を低くするなど対策を行った方がよく、取扱には注意する必要があります。

粉じん爆発限界酸素濃度試験

限界酸素濃度粉体に爆発性がある場合、どの程度の酸素濃度で爆発の危険性が無くなるかを判定する試験法です。圧縮空気に窒素ガスを加え、酸素濃度を調整します。

試験方法は上記の爆発下限界濃度測定と同様です。通常の試料であれば酸素濃度が12~13%以下になれば粉じん爆発は発生しません。ただし、金属粉末や有機物の微粉末は数%の酸素濃度でも爆発するものもあります。

粉じん爆発が起こらない酸素濃度を測定することで、危険性がある状況の場合には不活性ガスを用い、酸素濃度を限界酸素濃度以下にし、爆発の危険性を下げることが出来ます。ただし、酸素濃度を下げた状態から大気雰囲気に開放すると急な酸素濃度の上昇により粉じん爆発が起きる可能性があるので注意が必要です。

最小着火エネルギー試験

最少着火エネルギーどの程度のエネルギー(着火源)で粉じん爆発を起こす可能性があるか確認する試験になります。試験装置は爆発下限界濃度と同様の吹上式粉じん爆発試験装置を用います。通常の爆発下限界濃度試験では数J~数十Jとかなり高いエネルギーで試験を行い、爆発の有無、爆発のしやすさを測定しますが、最小着火エネルギーは、着火する最小のエネルギーを求める試験のため、放電エネルギー量をコントロールして行います。

着火の有無により得られた着火エネルギーから静電気などの影響による着火の危険性を判定します。

   0mJ < 着火エネルギー ≦10mJ        静電気による着火の危険性が高い
   10mJ < 着火エネルギー ≦100mJ      静電気による着火の危険性がある
  100mJ ≦着火エネルギー                   静電気による着火の危険性が低い

最大爆発圧力・爆発圧力上昇速度・Kst値

 爆発の激しさの評価は爆発指数によって行い、『JIS Z 8817 可燃性粉じんの爆発圧力及び圧力上昇速度の測定方法』に従って試験します。爆発の激しさの評価特性は4種類あり、結果の主な使用用途は以下になります。
 1)爆発圧力・・・・・・・防爆構造設計
 2)圧力上昇速度・・・・・爆発抑制設備設計
 3)火炎伝播速度・・・・・爆発伝播遮断設備設計(二次災害防止)
 4)爆発指数・・・・・・・爆発放散設備設計

最大爆発圧力

圧力上昇速度は、爆発試験容器内で発生させた爆発による容器内の圧力の時間変化から求めるため、爆発圧力と圧力上昇速度は両方同時に結果が得られることになります。

爆発圧力及び圧力上昇速度の基準は1m3あたりの数値となりますが、1m3の装置にて試験を行うのが大変であるために20Lの球形粉じん爆発試験装置を用いて試験を行い、1m3に換算して数値をまとめます。
爆発指数としてKstを導き、この最大値Kmaxについて爆発の激しさの相対評価を行い、クラス分けします。

  クラス0  Kst = 0                    爆発性がない粉じん
  クラス1  0 < Kst ≦ 200          爆発の激しさが弱い粉じん
  クラス2  200 < Kst ≦ 300      爆発の激しさが強い粉じん
  クラス3  300 < Kst                爆発の激しさがかなり強い粉じん

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